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Luxury ファッションの欲望 [アート&デザイン]

東京都現代美術館(MOT)で開催していた「Luxury ファッションの欲望」の最終日に鑑賞してきました。

20100116 Luxuryファッションの欲望.JPG

Luxury=贅沢。
時代や価値観の変遷にともなって「贅沢」の意味合いも変わりましたよね。

着飾ることは自分の力を示すこと-Ostentation
入手しにくければしにくいほど、美しければ美しいほど、そのものの価値が高まる。金・銀・宝石。美しい色糸を用いて織られた絢爛豪華なテキスタイル、優雅で繊細な刺繍やレース、絹織物。玉虫の羽を刺繍したドレス。ドレス全面にビーズ、ラインストーン、シークイン(スパンコール)。毛皮。
そして、一着の服になるまでの数多くの職人たちの精緻な手仕事。19世紀半ばから始まるフランスの贅沢産業「オートクチュール(高級仕立服)」一着のために100時間以上もかけて制作したことも。
ドレスの背中から長く伸びるトレーン(引きすそ)。髪型も今の“盛り髪”以上に巨大になり、おまけに軍艦や馬車などが載せられた。
一夜かぎりのイベントだけの衣装。
ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールなどのブランド服。
アート作品をデザインしたオリジナルの一点物。
「見せること=顕示」という最も普遍的で本質的でもあるラグジュアリー。

削ぎ落とすことは飾ること-Less is more
華美な装飾が好まれる一方で、シンプルで日常的なスタイルを望む動きもある。快適さや機能性がデザインに強く求められている現代。
余分な装飾を削ぎ落とすことで浮かび上がる新しい美の世界。簡素さの中の豊かさ。「神は細部に宿る」
ポワレが作る服は社会進出する女性たちの身体をコルセットの束縛から解放した。
身頃全体に手縫いのピン・タックを施したヴィオネの服は、一見単純に見えるが実に精巧なオートクチュールの手仕事。バイアス・カットの技法を駆使したドレスは動きやすさを生み出す美しいドレープを描く。
シャネルはブラウスとスカートのアンサンブル、絹ジョーゼットのワンピースなど、スポーティで機能的な服をデザインした。
外からは見えにくい贅沢、密やかなラグジュアリー。
(イッセイミヤケのプリーツも削ぎ落とされた美です)

ひとつだけの服-Uniqueness
メゾン・マルタン・マルジェラが展開する「アーティザナル(手仕事による)」ラインを通じて現在のラグジュアリーの本質を探る。
古着や使い古しの日用品をリメイクした「一点もの」の服。
効率性や利便性とは別の価値、手間と時間をかけて作り出されたものが、いつの時代においてもラグジュアリーの重要な要素。

冒険する精神-Clothes are free-spirited
ラグジュアリーであることは物質的、金銭的なものだけにとどまらない。「今までにない服」作りに挑戦する作り手とその情熱を受け止めようと努力する着用者。
川久保玲(コム・デ・ギャルソン)のデザインする服はオリジナリティに溢れ、時に着用の仕方すらわからない服であるため、「着る」という日常的な行為にさえ知的な体験を与えてくれる。

展示構成の最後は「妹島和世による空間デザイン COMME des GARCONS」

20100116 妹島和世による空間デザイン2.JPG
(展覧会パンフレットから)

吹き抜けの空間に透明なアクリル板を湾曲させて多様な形の島をつくり、コム・デ・ギャルソンの1991年から2008年までのコレクションの中から選んだ服32点が展示されていた。
迷路の中を歩くように宙に浮いたカラフルな彫刻作品のような洋服を見てまわる。浮遊感や神秘性を感じる不思議な体験。

【おまけ】
同時開催で「Swedish Fashion 新しいアイデンティティを求めて」を見ることができました。
新しい世代のスウェーデンのファッションデザイナー13組の作品を展示。

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