篠田桃紅 光のあしらい [アート&デザイン]
関市立篠田桃紅美術空間でゆっくり時間を過ごし、次に向かったのは岐阜現代美術館
(タクシーで約15分)
鍋屋バイテック会社の関工園内に1992年に建てられた円筒型ドームの建物は1993年度「日経ニューオフィス推進賞」を受賞した素敵な空間。
和紙を使った行灯式の展示用衝立。プールの水面を背景に吹き抜けの空間ではコンサートも催されるそうです。
美術空間とともに篠田作品を定期的に替えて展示。訪問時の展示は『光のあしらい』
篠田さんのエッセイに書かれた一節。
「美濃という古い岐阜の地名が好きだ。美しく濃いという字が私にすぐ墨を連想させる」
墨の濃淡に金泥、銀泥、朱、緑青で色をさすことで光と彩りが加えられ、画面に絶妙のバランスが生まれ、より一層作品がひきしまるような感じです。
実は今回の訪問では偶然が重なりました。
タクシーで到着したのですが、場所がわからず、とりあえず敷地の奥の入り口が開いている建物があったので降ろしてもらい、恐る恐る入り口から「こんにちは~」と声をかけ、中から出てきてくれた鍋屋バイテックの社員の方に「美術館に行きたいんですが…」とたずねると「ご案内しますよ」と快く敷地入り口脇にある場所まで連れて行ってくれたのです。(人がいるところで降ろしてもらってよかったぁ)
美術館そばに行くとゲートが閉まっていて「休館みたいですねぇ」
私「えぇ~、私、わざわざ東京から来たんです!」
社員「ちょっと事務所で聞いてきますね」
しばらしくして別の男性社員と女性社員も出てきてくれて「今日は臨時休館なんですが、開けますよ」と鍵を開けてくれました。(ほっ)
そういうわけで私一人のために開けてもらい、貸切状態で鑑賞できました。感激。
女性社員の方に帰りのタクシーのために電話番号を聞いたところ、美術館で鑑賞中の私のところに男性社員の方が戻ってきて「私はこのあと岐阜に行くので、よろしかったらお送りしますよ」感謝。
その方いわく、その日は会社の催しがあってたまたま社員が出社していて、かつ、私がタクシーで入ってきた際にすれ違いで目撃した社長が事務所に電話をし「きっと美術館に来られたお客さんだろうから、開けてあげなさい」と連絡を入れてくれていたとのこと。感動。
すべてがありがたく運んで嬉しい驚きです。そうでなければ私は失意のうちに帰るはめになっていたのですから。素敵な出逢いに感謝です。
私が訪れた数日後、6月16日に篠田作品をコレクションされた鍋屋バイテックの岡本太一会長(岐阜現代美術財団理事長)が肺がんで亡くなったことを昨日知りました。心からご冥福をお祈りします。
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(タクシーで約15分)
鍋屋バイテック会社の関工園内に1992年に建てられた円筒型ドームの建物は1993年度「日経ニューオフィス推進賞」を受賞した素敵な空間。
和紙を使った行灯式の展示用衝立。プールの水面を背景に吹き抜けの空間ではコンサートも催されるそうです。
美術空間とともに篠田作品を定期的に替えて展示。訪問時の展示は『光のあしらい』
篠田さんのエッセイに書かれた一節。
「美濃という古い岐阜の地名が好きだ。美しく濃いという字が私にすぐ墨を連想させる」
墨の濃淡に金泥、銀泥、朱、緑青で色をさすことで光と彩りが加えられ、画面に絶妙のバランスが生まれ、より一層作品がひきしまるような感じです。
実は今回の訪問では偶然が重なりました。
タクシーで到着したのですが、場所がわからず、とりあえず敷地の奥の入り口が開いている建物があったので降ろしてもらい、恐る恐る入り口から「こんにちは~」と声をかけ、中から出てきてくれた鍋屋バイテックの社員の方に「美術館に行きたいんですが…」とたずねると「ご案内しますよ」と快く敷地入り口脇にある場所まで連れて行ってくれたのです。(人がいるところで降ろしてもらってよかったぁ)
美術館そばに行くとゲートが閉まっていて「休館みたいですねぇ」
私「えぇ~、私、わざわざ東京から来たんです!」
社員「ちょっと事務所で聞いてきますね」
しばらしくして別の男性社員と女性社員も出てきてくれて「今日は臨時休館なんですが、開けますよ」と鍵を開けてくれました。(ほっ)
そういうわけで私一人のために開けてもらい、貸切状態で鑑賞できました。感激。
女性社員の方に帰りのタクシーのために電話番号を聞いたところ、美術館で鑑賞中の私のところに男性社員の方が戻ってきて「私はこのあと岐阜に行くので、よろしかったらお送りしますよ」感謝。
その方いわく、その日は会社の催しがあってたまたま社員が出社していて、かつ、私がタクシーで入ってきた際にすれ違いで目撃した社長が事務所に電話をし「きっと美術館に来られたお客さんだろうから、開けてあげなさい」と連絡を入れてくれていたとのこと。感動。
すべてがありがたく運んで嬉しい驚きです。そうでなければ私は失意のうちに帰るはめになっていたのですから。素敵な出逢いに感謝です。
私が訪れた数日後、6月16日に篠田作品をコレクションされた鍋屋バイテックの岡本太一会長(岐阜現代美術財団理事長)が肺がんで亡くなったことを昨日知りました。心からご冥福をお祈りします。
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萌し いのち満つるかたち [アート&デザイン]
岐阜県の関市役所本庁舎7階にある関市立篠田桃紅美術空間
(関市役所前まで名古屋から高速バスで一時間半)
96歳になった現在も、墨を用いて抽象作品を描き続ける篠田桃紅(しのだとうこう)さん。(1913年-)
父親が岐阜市出身、祖母が関市出身ということで、岐阜県にゆかりのある芸術家。関市に本社がある鍋屋バイテック会社が所蔵する篠田作品を借りて展示するための空間として2003年5月に開設されました。
今回、名古屋行きを決めるにあたり、前々から訪れたかった篠田桃紅作品がまとめて展示されている関市へも足を延ばすことにしたのです。
開催中の企画展は、ものの生命が芽吹く春がテーマ。『萌し(きざし) -いのち満つるかたち-』
季節の移り変わりのふと消えるそこはかとない気配、匂やかな兆しを水墨で表現。
私が彼女の作品を知ったのはいつか、どこかは忘れましたが、墨と和紙という日本的で古い材料を使いながらもシンプルでモダン、西洋の匂いがする新しい感覚の作品にはじめて見たときから魅せられたのです。
深閑とした美術空間でじっくりと作品と向き合う。
大学の卒業旅行で訪れたパリのポンピドゥセンターで、当時大好きだったミロの作品を眼前にして涙が出そうになったときのように、今回もようやく逢えた悦びに胸に熱いものがこみあげてきました。
墨の濃淡、にじみ、かすれ、筆致の強弱。リズムとアクセント。絵画でありながら音楽的でもあります。
彼女の作品は彼女の考え方、生き方をも表しているようです。
作品に使われる色は限られています。墨(黒、グレー)、胡粉(白)、朱、緑青、金泥、銀泥。
彼女は言います。
「白と黒の対決的で厳しい緊張感に耐えられなくて息をつきたい時に私は色を入れます」
「想像力と創造力が刺激されて観ることが楽しくなってくる抽象が好き」
「もう少し書きたいところでやめる。やめることはとても難しいけれど、完璧なものは窮屈でしょう。人だってそうです。そつがない人は息が詰まります。どこか気楽さがあると最高です」
引き算の美。
意思の強さ、潔さ。高齢になっても衰えない斬新さ。作品イメージ同様、凛とした佇まい、背筋をピンと伸ばした粋で美しい着物姿にも憧れます。
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(関市役所前まで名古屋から高速バスで一時間半)
96歳になった現在も、墨を用いて抽象作品を描き続ける篠田桃紅(しのだとうこう)さん。(1913年-)
父親が岐阜市出身、祖母が関市出身ということで、岐阜県にゆかりのある芸術家。関市に本社がある鍋屋バイテック会社が所蔵する篠田作品を借りて展示するための空間として2003年5月に開設されました。
今回、名古屋行きを決めるにあたり、前々から訪れたかった篠田桃紅作品がまとめて展示されている関市へも足を延ばすことにしたのです。
開催中の企画展は、ものの生命が芽吹く春がテーマ。『萌し(きざし) -いのち満つるかたち-』
季節の移り変わりのふと消えるそこはかとない気配、匂やかな兆しを水墨で表現。
私が彼女の作品を知ったのはいつか、どこかは忘れましたが、墨と和紙という日本的で古い材料を使いながらもシンプルでモダン、西洋の匂いがする新しい感覚の作品にはじめて見たときから魅せられたのです。
深閑とした美術空間でじっくりと作品と向き合う。
大学の卒業旅行で訪れたパリのポンピドゥセンターで、当時大好きだったミロの作品を眼前にして涙が出そうになったときのように、今回もようやく逢えた悦びに胸に熱いものがこみあげてきました。
墨の濃淡、にじみ、かすれ、筆致の強弱。リズムとアクセント。絵画でありながら音楽的でもあります。
彼女の作品は彼女の考え方、生き方をも表しているようです。
作品に使われる色は限られています。墨(黒、グレー)、胡粉(白)、朱、緑青、金泥、銀泥。
彼女は言います。
「白と黒の対決的で厳しい緊張感に耐えられなくて息をつきたい時に私は色を入れます」
「想像力と創造力が刺激されて観ることが楽しくなってくる抽象が好き」
「もう少し書きたいところでやめる。やめることはとても難しいけれど、完璧なものは窮屈でしょう。人だってそうです。そつがない人は息が詰まります。どこか気楽さがあると最高です」
引き算の美。
意思の強さ、潔さ。高齢になっても衰えない斬新さ。作品イメージ同様、凛とした佇まい、背筋をピンと伸ばした粋で美しい着物姿にも憧れます。
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