広重《東海道五拾三次》一挙公開 浮世絵入門 [アート&デザイン]
広尾の山種美術館で開館記念特別展Ⅴ「広重《東海道五拾三次》一挙公開 浮世絵入門」を鑑賞してきました。
最終日ということもあってか美術館に到着したときは入場制限がされていて待ち時間およそ15分でした。
しかし、待ってでも入って見るだけの価値はある展示内容でした。
保永堂版の初摺である歌川広重の《東海道五拾三次》が画帖装の扉に用いられた題字の一枚を含め、すべて公開されるのは20年ぶりとのこと。(制作年は1833-36年頃、大判錦絵)
出発の日本橋から品川・川崎と進み、富士山を眺め、桑名・四日市、さらに草津・大津、そして終点の京都の三條大橋まで。旅先の風景、人々の風俗が楽しめます。見応えたっぷり。
同じく広重の《近江八景》(1834年頃、大判錦絵)
広重以外では、奥村政信、鳥居清倍(二代)、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、勝川春章、勝川春好、東洲斎写楽、歌川豊国、葛飾北斎。
今回の展覧会では、タイトルのとおり、浮世絵の基礎知識が学べる解説がついています。
紅絵: 初期の浮世絵版画の中でも数が少ない。墨で摺ったあとに一枚ずつ彩色。元禄・正徳(1688-1716)には丹(鉱物質の鈍い赤)を主体とした丹絵だったが、享保(1726-36)に入ると植物性の透明感のある紅を主体とした紅絵が起こった。
漆絵: 黒の部分に膠を混ぜた墨を塗って、漆のような光沢を出した。
錦絵: 1740年代初め頃から、紅や緑・黄などの2,3色を使った簡単な色摺である紅摺絵がおこった。1765年、新春に配る大小暦の交換会の流行をきっかけに、より多くの色数を用いた錦絵が誕生した。
ごま摺: 版木に特殊な加工をほどこすのではなく、摺る際に馬連の力を加減して色つきにざらついた感じを出す。
板ぼかし: 通常よりも浅い角度で彫り、境目をなめらかに磨いた色板で摺る。
続絵(つづきえ): 錦絵の版木は山桜だが、大判を摺るときに幅が足らず何枚もの版木を使用してつなげた。
大首絵(おおくびえ): 人物の上半身をクローズアップした形式。役者絵など。
毛割(けわり): 髪の生え際の摺り
ベロ藍: 化学合成顔料であるプルシアンブルーのこと。18世紀初期にプロシア王国のベルリンで発明された。浮世絵には文政(1818-30)後期頃から用いられた。北斎の「冨獄三十六景 凱風快晴」の空の色。
拭きぼかし: 色板の版面を塗らした布で拭いて水気を与え、その上に刷毛で絵具をはいてのばす。絵具が水気でにじんだ状態で紙を置いて摺ることで、ぼかしの効果を得る。水や空に多用された。
雲母摺(きらずり): 鉱物の一種である雲母の粉を用いて画面に光沢を出す摺り方
浮世絵は、絵師・彫師・摺師の三者の息が合わないと良い作品が完成しない、コラボレーションの芸術です。
参考展示は菱田春草、上村松園、伊東深水、小早川清、片岡球子の近代絵画(日本画)
明治に入り、機械印刷の登場とともに木版画としての浮世絵は終わりを迎えたが、浮世絵の流れは日本画の美人画へと伝えられた。
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最終日ということもあってか美術館に到着したときは入場制限がされていて待ち時間およそ15分でした。
しかし、待ってでも入って見るだけの価値はある展示内容でした。
保永堂版の初摺である歌川広重の《東海道五拾三次》が画帖装の扉に用いられた題字の一枚を含め、すべて公開されるのは20年ぶりとのこと。(制作年は1833-36年頃、大判錦絵)
出発の日本橋から品川・川崎と進み、富士山を眺め、桑名・四日市、さらに草津・大津、そして終点の京都の三條大橋まで。旅先の風景、人々の風俗が楽しめます。見応えたっぷり。
同じく広重の《近江八景》(1834年頃、大判錦絵)
広重以外では、奥村政信、鳥居清倍(二代)、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、勝川春章、勝川春好、東洲斎写楽、歌川豊国、葛飾北斎。
今回の展覧会では、タイトルのとおり、浮世絵の基礎知識が学べる解説がついています。
紅絵: 初期の浮世絵版画の中でも数が少ない。墨で摺ったあとに一枚ずつ彩色。元禄・正徳(1688-1716)には丹(鉱物質の鈍い赤)を主体とした丹絵だったが、享保(1726-36)に入ると植物性の透明感のある紅を主体とした紅絵が起こった。
漆絵: 黒の部分に膠を混ぜた墨を塗って、漆のような光沢を出した。
錦絵: 1740年代初め頃から、紅や緑・黄などの2,3色を使った簡単な色摺である紅摺絵がおこった。1765年、新春に配る大小暦の交換会の流行をきっかけに、より多くの色数を用いた錦絵が誕生した。
ごま摺: 版木に特殊な加工をほどこすのではなく、摺る際に馬連の力を加減して色つきにざらついた感じを出す。
板ぼかし: 通常よりも浅い角度で彫り、境目をなめらかに磨いた色板で摺る。
続絵(つづきえ): 錦絵の版木は山桜だが、大判を摺るときに幅が足らず何枚もの版木を使用してつなげた。
大首絵(おおくびえ): 人物の上半身をクローズアップした形式。役者絵など。
毛割(けわり): 髪の生え際の摺り
ベロ藍: 化学合成顔料であるプルシアンブルーのこと。18世紀初期にプロシア王国のベルリンで発明された。浮世絵には文政(1818-30)後期頃から用いられた。北斎の「冨獄三十六景 凱風快晴」の空の色。
拭きぼかし: 色板の版面を塗らした布で拭いて水気を与え、その上に刷毛で絵具をはいてのばす。絵具が水気でにじんだ状態で紙を置いて摺ることで、ぼかしの効果を得る。水や空に多用された。
雲母摺(きらずり): 鉱物の一種である雲母の粉を用いて画面に光沢を出す摺り方
浮世絵は、絵師・彫師・摺師の三者の息が合わないと良い作品が完成しない、コラボレーションの芸術です。
参考展示は菱田春草、上村松園、伊東深水、小早川清、片岡球子の近代絵画(日本画)
明治に入り、機械印刷の登場とともに木版画としての浮世絵は終わりを迎えたが、浮世絵の流れは日本画の美人画へと伝えられた。
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