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パウル・クレー おわらないアトリエ [アート&デザイン]

竹橋の東京国立近代美術館で開催されていた展覧会「パウル・クレー おわらないアトリエ」を観てきました。

20110722 パウル・クレーおわらないアトリエ.jpg
「なおしている」(チューリヒ美術館蔵)と「マネキン」(個人蔵)、ともに1940年

スイス生まれの画家、パウル・クレー(Paul Klee、1879-1940)
その色彩、メルヘンチックな画風。私の好きな画家の一人です。

今回の展覧会では、「クレーの作品は物理的にどのように作られたのか」というテーマで構成され、いままで知らなかった制作の過程、技術を通して作品を味わえる内容でした。
まさしく“おわらないアトリエ” 創作現場をのぞいている気分になれました。
スイス、ベルンのパウル・クレー・センター所蔵作品を中心に、国内外から日本初公開の作品も含め、新しいクレーの魅力に触れることができました。

会場構成は次のとおり。

●アトリエへの入り口:自画像
1919年(40歳)、クレーは集中的に自画像を制作。第一次世界大戦が終わり、兵役を解かれ、ミュンヘンの自宅に戻った彼は、芸術家としての自己の在り方を追求します。

●現在/進行形:アトリエの作品たち
クレーが生涯でアトリエを構えた5つの街。ミュンヘン、ヴァイマール、デッサウ、デュッセルドルフ、ベルン。
それらのアトリエ内の写真と、そこに写った絵画を合わせて紹介し、制作中の画家の試行錯誤を検証します。

●プロセス1:写して/塗って/写して 油彩転写の作品
黒い油絵の具を塗った紙を何も描かれていない紙の上に裏返して置き、その上に、先に鉛筆やインクで描いた素描を重ね、描線を針でなぞって転写した後、水彩絵の具で着彩する技法。

●プロセス2:切って/回して/貼って 切断・再構成の作品
いったん出来上がった画面を切って、それを回して、あるいは入れ替えて、再び組み合わせた後に台紙に貼って一つの作品にした。

●プロセス3:切って/分けて/貼って 切断・分離の作品
プロセス2に続き、一つの画面を切断した後に、分解された部分が再構成されることなく、分けられた複数の断片がそれぞれ別の台紙に貼られ、独立した作品となる。
上↑の作品も元は一つの作品を二つに分けたもの。

●プロセス4:おもて/うら/おもて 両面の作品
クレーの作品の裏面には、文字が記されていたり図像が描かれていたりするものが存在します。表から裏面の図像が透けて見えるものもあります。
二次元の平面である絵画作品が、三次元的存在となる可能性を示すほか、裏面が時を経て発見されることで、時間性(四次元性)をも含みます。

●過去/進行形:“特別クラス”の作品たち
クレーは自ら制作した作品リストに記載した作品を1925年頃から8つのカテゴリーに分類。それらとは別に、「特別クラス(Sonderklasse)」というカテゴリーを設け、非売品として手元に残しました。画面や作品リストに「S Cl」や「S Kl」と略記号が書き込まれた作品は、彼にとって試金石的ないしは模範的作品であり、また、自身や家族の思い出の反映という意味もあったのではないかと考えられています。


仕事帰りに一時間弱、駆け足での鑑賞でしたが、それでも行ってよかったと思える展覧会でした。

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