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松井冬子展 [アート&デザイン]

先週末にこれだけが目的で出かけた浜松。
平野美術館(個人コレクションにより1989年開館)で開催していた『松井冬子展』

20081213 平野美 松井冬子展.JPG

1974年静岡県生まれの34歳。東京藝術大学日本画専攻女性初の博士号を取得。
博士論文のタイトルが「知覚神経としての視覚によって覚醒される痛覚の不可避」
(平たく言うと、見ることで気づかされる避けられない痛みの感覚、てなところでしょうか)

展示されていた絵の題名や解説文も固い熟語の組み合わせ、難解な表現が多く、すでに彼女の独特の世界観が感じられます。
 
上の写真は『浄相(じょうそう)の持続』という絵の部分。
他には 『優しくされているという証拠をなるべく長時間にわたって要求する』
その解説が 「恐ろしさの原因は目の前の幽霊ではなく自分の精神の内側にある。それゆえ現れる幽霊は自らのうちにある不安や恐れの投影なのだ。この長いタイトルは生まれたばかりの赤児が最初に母親に求めるものを意味している」

松井冬子が描く絵には体を引き裂かれて内臓や血管が飛び出している裸体の女性、骸骨、枯れた草花などがよく登場し死の香りが漂います。また、人工的な照明はもちろん自然の太陽の光さえも断ち切った薄暗い闇の世界が描かれます。

彼女の絵を見て浮かんできた言葉。
 ・生と死への執着
 ・虚無感、不気味
 ・具象を描きながら(丹念な写実)抽象的、哲学的な意味を包含
 ・精神科医、解剖学的な視点、繊細さ、細密さ
 ・自虐、暴力的、破壊的、残酷
 ・狂気、情念の世界

会場で上映されていたDVDのタイトルが『痛みが美に変わる時』
その中で社会学者の上野千鶴子さんは興味深い話をしていました。
「松井冬子さんの絵はバロックパールのような美しさ。パールは傷をつけないと美しくならない。ただし、傷ついているものが必ずしも美しいとは限らない」
人生も同じかな。心の痛みを豊かさに変えられる自分でいたい。

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