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萌し いのち満つるかたち [アート&デザイン]

岐阜県の関市役所本庁舎7階にある関市立篠田桃紅美術空間
(関市役所前まで名古屋から高速バスで一時間半)

96歳になった現在も、墨を用いて抽象作品を描き続ける篠田桃紅(しのだとうこう)さん。(1913年-)
父親が岐阜市出身、祖母が関市出身ということで、岐阜県にゆかりのある芸術家。関市に本社がある鍋屋バイテック会社が所蔵する篠田作品を借りて展示するための空間として2003年5月に開設されました。

今回、名古屋行きを決めるにあたり、前々から訪れたかった篠田桃紅作品がまとめて展示されている関市へも足を延ばすことにしたのです。

20090613 2篠田桃紅美術空間  萌し.jpg

開催中の企画展は、ものの生命が芽吹く春がテーマ。『萌し(きざし) -いのち満つるかたち-』
季節の移り変わりのふと消えるそこはかとない気配、匂やかな兆しを水墨で表現。

私が彼女の作品を知ったのはいつか、どこかは忘れましたが、墨と和紙という日本的で古い材料を使いながらもシンプルでモダン、西洋の匂いがする新しい感覚の作品にはじめて見たときから魅せられたのです。

深閑とした美術空間でじっくりと作品と向き合う。
大学の卒業旅行で訪れたパリのポンピドゥセンターで、当時大好きだったミロの作品を眼前にして涙が出そうになったときのように、今回もようやく逢えた悦びに胸に熱いものがこみあげてきました。

墨の濃淡、にじみ、かすれ、筆致の強弱。リズムとアクセント。絵画でありながら音楽的でもあります。

彼女の作品は彼女の考え方、生き方をも表しているようです。
作品に使われる色は限られています。墨(黒、グレー)、胡粉(白)、朱、緑青、金泥、銀泥。
彼女は言います。
「白と黒の対決的で厳しい緊張感に耐えられなくて息をつきたい時に私は色を入れます」
「想像力と創造力が刺激されて観ることが楽しくなってくる抽象が好き」
「もう少し書きたいところでやめる。やめることはとても難しいけれど、完璧なものは窮屈でしょう。人だってそうです。そつがない人は息が詰まります。どこか気楽さがあると最高です」

引き算の美。
意思の強さ、潔さ。高齢になっても衰えない斬新さ。作品イメージ同様、凛とした佇まい、背筋をピンと伸ばした粋で美しい着物姿にも憧れます。

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