源氏の香り [アート&デザイン]
磐田市香りの博物館で『源氏の香り 王朝の雅と源氏香』という企画展を見てきました。
昨年(2008年)は源氏物語が世に出て1000年ということでいろんな形で「源氏物語千年紀」の催しがありますね。
日本の香り文化は飛鳥時代(500年代)に仏教の伝来とともに始まったと言われています。(もともとは仏様のための供香そなえこう)
平安時代になり、香を焚き香りを楽しむ風習が生まれました。(空薫そらだき、というものです)室内空間や衣服、髪に香りを焚き込めるための道具として香炉、火取母、香枕などの用具があります。薬玉は室内にかけて香りで邪気を祓うもの。
香はもてなし、身だしなみの道具から教養、雅な遊びへと変わっていきます。
和歌と結びついて文学的世界を形づくり、歌合、絵合とともに「物合ものあわせ」の一つとして薫物合が知的な遊戯として貴族社会の中で定着していきます。
さらに鎌倉・室町時代には香により高い価値と精神性を見出し、味わいの違う香りを愉しみ、その異同を当てるという「組香」に発展。その形式が整えられ、江戸時代には「香道」として完成するに至りました。
私もかつて「聞香(もんこう)」を体験したことがありますが、利き茶と同様、なかなか味わい深い愉しみでした。(茶道、華道、書道とともにもっと造詣を深めたい世界。時間とお金がほしい。。)
さて、紫式部の源氏物語は平安王朝の宮廷や貴族の暮らしの描写を通して当時流行の風習なども紹介しています。
「薫物合わせ」は香りの優劣と香りに関連した詩歌を詠む文学的な素養であり、王朝人の遊戯です。
また、香りは一種のアイデンティティ、個性でもありました。
「移り香」という言葉がありますが、薫香の香りそのもののほか、いなくなったあとに残っているその人のほのかな匂いを指し、香りの主を想い起こさせます。
展示解説の中でこんな説明がありました。
「用意」とは意(こころ)を用いること。配慮、工夫、嗜み。
「追風」とは、人の歩みにつれて追いすがる風に衣服にしみた薫香の放散すること。通りすぎたあとに漂う匂い。薫物をした人の後を香りが追いかけるようにたなびくさまを言い、『源氏物語』の人物・情景描写の重要な要素です。
「追風用意」こそ王朝人の美意識の発揮。
自分の後の香りにも注意を配る。私はバッグに文香をしのばせています。
源氏物語の登場人物に関する説明も。
「にほふ」は赤く色が映えてみえるさまを言い、匂宮の積極的な性格。
一方、「かおる」は煙などがほのかに漂うという意味で、薫君の静のイメージを反映しているそうです。
そして現在、もっと気軽に香を日常生活に取り入れられるようになってきました。
部屋で手軽に焚けるインセンスやアロマキャンドルが売られています。私は心地よい眠りにつきたい時はピロー・パフュームを室内にスプレーします。
京都の香老舗、松栄堂の当主、畑正高氏は「21世紀は五感のバランスを再構築する時代」とおっしゃっています。
季節感を感じにくくなっている今こそ、五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)を鋭くして日常の中でさまざまなものを敏感に感じていたいと思う今日この頃。
【おまけ】
博物館のカフェでランチをいただきました。ハーブなど香りにちなんだメニューがいろいろ。フラワーハーブのパスタ、コーヒーがサービスでついて800円。もちろんお花もいただきました。
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昨年(2008年)は源氏物語が世に出て1000年ということでいろんな形で「源氏物語千年紀」の催しがありますね。
日本の香り文化は飛鳥時代(500年代)に仏教の伝来とともに始まったと言われています。(もともとは仏様のための供香そなえこう)
平安時代になり、香を焚き香りを楽しむ風習が生まれました。(空薫そらだき、というものです)室内空間や衣服、髪に香りを焚き込めるための道具として香炉、火取母、香枕などの用具があります。薬玉は室内にかけて香りで邪気を祓うもの。
香はもてなし、身だしなみの道具から教養、雅な遊びへと変わっていきます。
和歌と結びついて文学的世界を形づくり、歌合、絵合とともに「物合ものあわせ」の一つとして薫物合が知的な遊戯として貴族社会の中で定着していきます。
さらに鎌倉・室町時代には香により高い価値と精神性を見出し、味わいの違う香りを愉しみ、その異同を当てるという「組香」に発展。その形式が整えられ、江戸時代には「香道」として完成するに至りました。
私もかつて「聞香(もんこう)」を体験したことがありますが、利き茶と同様、なかなか味わい深い愉しみでした。(茶道、華道、書道とともにもっと造詣を深めたい世界。時間とお金がほしい。。)
さて、紫式部の源氏物語は平安王朝の宮廷や貴族の暮らしの描写を通して当時流行の風習なども紹介しています。
「薫物合わせ」は香りの優劣と香りに関連した詩歌を詠む文学的な素養であり、王朝人の遊戯です。
また、香りは一種のアイデンティティ、個性でもありました。
「移り香」という言葉がありますが、薫香の香りそのもののほか、いなくなったあとに残っているその人のほのかな匂いを指し、香りの主を想い起こさせます。
展示解説の中でこんな説明がありました。
「用意」とは意(こころ)を用いること。配慮、工夫、嗜み。
「追風」とは、人の歩みにつれて追いすがる風に衣服にしみた薫香の放散すること。通りすぎたあとに漂う匂い。薫物をした人の後を香りが追いかけるようにたなびくさまを言い、『源氏物語』の人物・情景描写の重要な要素です。
「追風用意」こそ王朝人の美意識の発揮。
自分の後の香りにも注意を配る。私はバッグに文香をしのばせています。
源氏物語の登場人物に関する説明も。
「にほふ」は赤く色が映えてみえるさまを言い、匂宮の積極的な性格。
一方、「かおる」は煙などがほのかに漂うという意味で、薫君の静のイメージを反映しているそうです。
そして現在、もっと気軽に香を日常生活に取り入れられるようになってきました。
部屋で手軽に焚けるインセンスやアロマキャンドルが売られています。私は心地よい眠りにつきたい時はピロー・パフュームを室内にスプレーします。
京都の香老舗、松栄堂の当主、畑正高氏は「21世紀は五感のバランスを再構築する時代」とおっしゃっています。
季節感を感じにくくなっている今こそ、五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)を鋭くして日常の中でさまざまなものを敏感に感じていたいと思う今日この頃。
【おまけ】
博物館のカフェでランチをいただきました。ハーブなど香りにちなんだメニューがいろいろ。フラワーハーブのパスタ、コーヒーがサービスでついて800円。もちろんお花もいただきました。
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