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いけばな ~歴史を彩る日本の美~ [アート&デザイン]

自然界にカラフルな花が少なくなる冬の季節。アートの世界が補ってくれます。

先週末まで両国東京都江戸東京博物館で開催されていた特別展「いけばな ~歴史を彩る日本の美~」を鑑賞してきました。

20100116 いけばな歴史を彩る日本の美1.JPG

自然の草花や樹木を素材にした日本の伝統的な造形芸術「いけばな」の歴史や文化的背景が花伝書、立花図、絵巻、屏風などから紹介されていました。

会場構成は次のとおり。(説明パネルから引用)

プロローグ いけばなの源流
神仏への供花(くげ)の形式を源流とする「いけばな」
花や樹木そのものに霊性を感じ、花を特別なものとしてとらえてきた日本人の精神性が見られます。

第1章 いけばなの成立
15世紀、室町時代に京都で発生し、16世紀に一つの芸術として確立。15世紀後半から、飾りの一部であった花が次第に独立したいけばな作品として鑑賞の対象となっていった。
茶の湯文化の流行・発展に伴い、お茶・お花・お香が栄えた時代。

第2章 豪華になるいけばな
戦国の世が治まり、豊臣秀吉による天下統一を経て江戸幕府が成立した16~17世紀。武家屋敷で儀礼の場の飾りとして「立花」が採り入れられた。大書院の空間を飾るため、いけばなは大きく豪華になった。

「立花図」はいけばなの完成形を図で表した手本、テキストでもあり、記された花材名で季節感を感じ、生けた年月日から行事との関連性を読みとることもできます。

第3章 流派の誕生といけばな大流行
公家や武家の間に広まった「立花」の流行は、元禄期(1688-1704)には富裕な町人層にまで及んだ。いけばなは成人男子の学んでおくべきたしなみとされた。江戸中期になると、複雑な立花よりも手軽に生けられる「抛入花(なげいればな)」が好まれるようになり、一般住宅の床の間を飾る格調高く気品に満ちた「生花」様式が生まれた。
この頃から生花諸流派が次々創始され、家元制度も確立された。
いけばなの流行は浮世絵の世界にも影響。多くの絵師がいけばなを題材にした画を描きました。
江戸後期には男のたしなみから女のたしなみ(習い事)になった。

第4章 はなの器
いけばなの形が成立するまでは、むしろ花器そのものが賞玩の対象となり、高価で希少価値のある輸入品の銅器や青磁など、唐物の道具が珍重された。
花材選びはもちろん、器との取り合わせも大切。花と器の調和、さらには掛軸、屏風などとの調和も求められる。

エピローグ いけばなの近現代と広がり
明治維新により、いけばなの大きな支持層(パトロン)であった武家や商家が没落し、いけばなも一時衰退。しかし、西欧の花材や技法を導入したいけばなが創出され、女子の情操教育にも採り入れられたことから再び勢いを取り戻す。
生活様式の変化から盛花など住宅の応接間を飾るのに適した自由花の発展をもたらした。
大正期には雑誌・テレビで取り上げられ、さらに参加者層を獲得。
第二次世界大戦以前から活動の見られた「前衛いけばな」の動きは、新しい素材や理念をとりいれ、いけばなの領域を広げた。(草月流、小原流、未生流など)

玄関ロビーには各流派によるいけばな作品の展示も行われていました。
(草月流、古流松藤会、宏道流、池坊、龍生派、一葉式いけ花、小原流、そして最終週は清風瓶華↓)

20100116 いけばな歴史を彩る日本の美2.JPG

【おまけ】
会場の江戸東京博物館は隣の国技館に似せた外観。
20100117 江戸東京博物館1.JPG

ロビーには大きな招福熊手。まだ正月ですものね。
20100117 江戸東京博物館2.JPG

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コメント 5

アンズ

いっこさま
特別展「いけばな ~歴史を彩る日本の美~」の展示内容、良かったみたいですね。
今から、15年前に1年だけ、オランダのアムステルダムに住んでいました。
オランダのフラワーアレージメントは、昭和30年に訪蘭された勅使河原蒼風先生の影響が大きいので、ビックリしました。
私は絵が好きなので、「立花図」が大好きです。
by アンズ (2010-01-22 08:01) 

いっこさん

★アンズさん、アムスに住んでいらしたのですね。私、イギリスにいた時、出張で2回行きましたが、当然ですが仕事だったので観光できず。歩きながら運河を見たり、鉄道に乗ったときに牧草地の景色を見たり、という程度。いつか美術館めぐりをしてみたい場所です。
by いっこさん (2010-01-23 10:14) 

アンズ

いっこさんが歩かれた地域、自転車で走っていました。
牧草地地帯にも、自転車で行っていました。
地下鉄サリン事件や、阪神淡路大震災のニュースは、アムステルダムで知りました。
出国した時の総理大臣は細川さん、帰国した時の総理大臣は村山さんでした。
オランダ人からは、『日本は政情が不安では?』と心配してもらいました。
日本の情報が欲しくて、自転車に乗り片道30分のホテル オークラ アムステルダムまで、日本語新聞を買いに行ったのも、懐かしい思い出です。



by アンズ (2010-01-23 20:27) 

いっこさん

★アンズさん、「花」と「絵画」がお好きでしたら、名古屋ボストン美術館で現在、「永遠に花咲く庭」という17-19世紀の西洋植物画の展覧会を開催していますよ。
by いっこさん (2010-01-25 22:26) 

アンズ

いっこさん さん
私、西洋植物画、大好きです。
会期期間中の2月27日に、名古屋ボストン美術館のある金山に
行くので、ラッキーです。
1年前に新聞を止めたので、情報に疎くなっていました。
アリガトウございます。

by アンズ (2010-01-25 22:49) 

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