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松井冬子展 世界中の子と友達になれる [アート&デザイン]

二週間ぶりの横浜。
今日は横浜美術館で開催中の「松井冬子展 世界中の子と友達になれる」を観てきました。

20120310 松井冬子展.JPG
「世界中の子と友達になれる」2002年、個人蔵(横浜美術館寄託)

彼女の絵は以前から注目していて、三年前には個展が開かれていた浜松にそれだけの目的で出かけたほどです。

今回の展覧会は、初の大規模個展ということで見逃すわけにはいきません。

会場構成と私が特に気になった出品作品。

第1章 受動と自殺
「盲犬図」(首輪をはめられた白いボルゾイ犬)「ただちに穏やかになって眠りにおち」(体にチェーンを巻きつけられた白い巨象が暗闇の沼に沈んでいる)「なめらかな感情を日常的に投与する」(双頭の蛇の体が裂けている)

第2章 幽霊
「夜盲症」(肉をむき出しにした鶏を逆さに吊るし持つ長髪の女の幽霊)「咳」(満月を背景に月下美人もしくは見返り美人のように肩越しに正面を見据える浮遊する女性)

第3章 世界中の子と友達になれる
これは彼女の東京藝術大学の卒業制作(上↑の作品)のタイトルであり、大学院修士課程の修了制作のタイトル。
学部卒業にあたっての課題「自画像」と一年かけて制作された上↑の本画の完成にいたるスケッチや下図に彼女の試行錯誤が垣間見られます。

第4章 部位
本画を完成させるために精密な下図が描かれる。そして、印刷の色指定のように、画面に描く植物の名前や描く際のタッチなどが書き込まれている。

第5章 腑分
「解剖 仔牛」「桜下狂女図」
彼女の作品には、肉体が裂かれ本来体の内部にあって外側からは見えない臓物や骨、さらには子宮の中の胎児などが描かれる。以前にテレビの紹介番組で見たが、彼女は解剖学を学ぶ医学生のように、実物の内臓や動物の死骸を見ながら丹念にスケッチしたうえで日本画の技法を用いて本画にする。

第6章 鏡面
「この疾患を治癒させるために破壊する」(千鳥が淵の桜)

第7章 九相図
人間が死んで腐敗し骨へと変ずるさまを9つの段階に分けて示した、仏典にもとづく絵画。 
「浄相の持続」(死体のそばに長寿を象徴する桃)「転換を繋ぎ合わせる」(骸骨の横に子孫繁栄を意味するザクロ)

第8章 ナルシシズム
「終極にある異体の散在」(裂けた腕や背中から血管を出し、頭髪や足首を鳥と犬に引っ張られ噛まれている裸体の女)

第9章 彼方
「無傷の標本」(脚を広げて樹の根元に座る兎唇の少女)

精神的肉体的な「痛み」や「恐怖」「狂気」「性」「生と死」などをテーマに制作された彼女の作品。
9つに分けられてはいますが、テーマが全体に共通して流れ、重なりあっています。


美術館に着いたとき、吹き抜けのロビーは大変な人だかり。いったい何?と思ったら、松井冬子さん本人によるサイン会が始まる直前でした。
遠巻きに見たところ、いつものように長い髪をキリリと束ね、真っ赤な服を着た姿は女優のように美しいオーラを発していました。

【おまけ】
美術館へのアクセスは、みなとみらい線。
帰りは日本大通り駅から乗車。駅構内に横濱三塔を描いたタイルがありました。
20120310 横濱三塔の日.jpg

左から、神奈川県庁の「キング」、横浜市開港記念会館の「ジャック」、横浜税関の「クイーン」
3月10日は「横濱三塔の日」
この三塔を一望できる3つのスポットを巡ると願いが叶うという言い伝えがあるそうです。
このタイル画で一度に三つとも見たから、パワーをもらえたかも。

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フェルメールからのラブレター展 [アート&デザイン]

2か月ぶりのアート鑑賞レポートです。

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「フェルメールからのラブレター展」を観てきました。

20120225 フェルメールからのラブレター展1.JPG
「手紙を書く女」1665年頃、ワシントン・ナショナル・ギャラリー

印象派の画家と並び、日本人が好きな画家の筆頭と言ってもいいほど人気のあるヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)
17世紀オランダ絵画を代表する巨匠。三十数点しか作品が現存しておらず、そのうち、手紙をテーマにした3作品が一堂に会しています。
その他、同時代の画家たちの作品も合わせて展示されています。

20120225 フェルメールからのラブレター展2.JPG
上の左が「手紙を書く女と召使」1670年頃、アイルランド・ナショナル・ギャラリー
右が「手紙を読む青衣の女」1663-64年頃、アムステルダム国立美術館

会場構成は次のとおり。

人々のやりとり -しぐさ、視線、表情
仕事や余暇を楽しむ民衆の姿を描く風俗画。日常生活の描写のように見えるが、オランダの諺や格言、道徳的なメッセージを示唆しているとか。

家族の絆、家族の空間
17世紀のオランダの風俗画では既婚女性がよく描かれている。彼女たちは買い物や料理、掃除、選択、アイロンがけ、乳児や幼い子供たちの養育や監督、病人の世話などさまざまな仕事を行った。召使いが描かれた作品もあるが、実際に召使いがいた家庭は全体の1~2割にすぎなかったという。

手紙を通したコミュニケーション
17世紀のオランダは他国に比べて識字率が高かったそうで、郵便制度も成立し、手紙のやりとりが急速に増え、手紙はコミュニケーション手段として重要な役割を果たしていた。当時すでに、手紙の例文(男性からのラブレターに対し断る女性からの手紙など)を載せた本があったほど。

職業上の、あるいは学術的コミュニケーション
学者たちは個人的な非公式な接触によりコミュニケーションをとった。また、17世紀には学術雑誌が誕生し、学会が設立され、学会誌や科学書、新聞などの印刷物を介したコミュニケーションも盛んだった。

絵画に描かれている事物は多くの場合、意味(寓意)が込められています。
例えば、部屋の中に吊るされた鳥かご。鳥が籠で守られていることから無垢・貞節を、空の場合は不安定を示すものとされた。
チェロなどの楽器は、演奏する際に音を合わせなければできないので調和・心の通い合いを象徴。
室内の壁にかけられた地図は愛する人の不在を表す。海は愛、船は恋人を表象していた。
こんな知識を頭におきながら絵を見ると、さらに深く楽しめます。

現在、改修工事で閉館中の東京都美術館のリニューアル後の展覧会(6月~)で「真珠の耳飾りの少女」がやってくるそうです。これも楽しみ。

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ゴヤ 光と影 [アート&デザイン]

上野の国立西洋美術館でプラド美術館所蔵「ゴヤ 光と影」を観てきました。

20111224 ゴヤ展.JPG
「着衣のマハ」1800-07年頃、部分

スペイン美術の巨匠、フランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828)
国王カルロス4世の主席宮廷画家にのぼりつめ、王侯貴族や廷臣たちの優雅な肖像画によって名声を得た。

これまでゴヤの絵画をまとまって見る機会がなかったので、じっくり見るのは初めて。
プラド美術館のコレクションからの油彩画と素描、国立西洋美術館所蔵の版画が中心。

それにしても、「着衣のマハ」(↑)も対をなす「裸のマハ」(今回は展示なし)も胴体に対して頭部がガクンとはずれて落ちているように見えるのは私だけ?

会場構成は次のとおり。

Ⅰ かくある私-ゴヤの自画像
Ⅱ 創意と実践-タピスリー用原画における社会批判
Ⅲ 嘘と無節操-女性のイメージ:<サンルーカル素描帖>から私室の絵画へ
Ⅳ 戯画、夢、気まぐれ-<ロス・カプリチョス>の構想段階における自由と自己検閲
Ⅴ ロバの衆:愚鈍な者たち-<ロス・カプリチョス>における人間の愚行の諷刺
Ⅵ 魔物の戯れ-<ロス・カプリチョス>における魔術と非合理
Ⅶ 「国王夫妻以下、僕を知らない人はいない」-心理研究としての肖像画
Ⅷ 悲惨な成り行き-悲劇への眼差し
Ⅸ 不運なる祭典-<闘牛技>の批判的ヴィジョン
Ⅹ 悪夢-<素描帖C>における狂気と無分別
XI 信心と断罪-宗教画と教会批判
XⅡ 闇の中の正気-ナンセンスな世界の幻影
XⅢ 奇怪な寓話-<ボルドー素描帖G>における人間の迷妄と動物の夢
XⅣ 逸楽と暴力-<ボルドー素描帖H>における人間たるものの諸相 

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トゥールーズ=ロートレック展 [アート&デザイン]

丸の内で、三菱一号館美術館コレクション<Ⅱ>「トゥールーズ=ロートレック展」を観てきました。

20111224 ロートレック展.JPG
「シンプソンのチェーン」1896年、リトグラフ、ポスター(部分)

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec、1864-1901)
南仏アルビの伯爵家に生まれ、幼少期には「小さな宝石(プティ・ビジュー)」と呼ばれて可愛がられて育ったが、若くして両足を順に骨折したのが原因で脚の成長が止まり、最後は心身の病で36歳という若さで亡くなった。

三菱一号館美術館所蔵のロートレック作品は、彼自身がアトリエに残し、親友で画商のモーリス・ジョワイヤンに引き継がれたコレクションとのことで、19世紀末のパリ、モンマルトルの華やかな様子を描いたポスターや、一般の眼にはめったに触れない試し刷り、友人たちを招いて自ら料理を振舞った晩餐会のメニューなど、制作過程や私生活を垣間見ることができる珍しい作品群。

これまでもロートレックの作品は何度も見てきましたが、今回の展覧会は初めてお目にかかる作品もあって新鮮でした。
上↑の自転車のポスターもその一つ。ロートレックは自転車愛好家でもあったそうです。
おなじみの、赤いマフラーが印象的な男性歌手・アリスティド・ブリュアンを描いたものや、フリフリのドレスの裾を持ち上げ脚を高く上げるフレンチ・カンカンの女性ダンサーたちのムーラン・ルージュの絵もいろんなバリエーションがあり比較しながら見るのも興味深い。
彼は日本の浮世絵にも影響を受けたそうで、画面を斜めに区切る大胆な構図もその表れ。
彼の絵を見ての私自身の気づきとしては、描いている視点が被写体に正対する目の高さよりもやや上方からであるということ。実際には身長が150cmあまりで、人よりも低い視点であるはずなのに、彼の願望が自然とそうさせたのか?

会場構成は次のとおり。

第1章 トゥールーズ=ロートレック家の故郷・南西フランスと画家揺籃の地アルビ
第2章 世紀末パリとモンマルトルの前衛芸術
第3章 芸術家の人生

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モダン・アート, アメリカン [アート&デザイン]

六本木の国立新美術館で開催していた「モダン・アート, アメリカン-珠玉のフィリップス・コレクション-」を観てきました。

20111208 モダンアート・アメリカン.JPG
Georgia O'Keeffe「Pattern of Leaves(葉のかたち)」1924年

アメリカ美術の優れた収蔵品で知られるPhillips Collectionから、19世紀後半からアメリカン・モダニズムの時代を経て、ポロック、ロスコに代表される戦後のアメリカ絵画隆盛期にいたるアメリカ美術の奇跡をたどる作品110点が展示されていました。

会場構成と主な展示作品は次のとおり。

第1章 ロマン主義とリアリズム
 Edward Hicks「TH絵Peaceable Kingdom(平和な王国)」
第2章 印象派
第3章 自然の力
第4章 自然と抽象
 Geogia O'Keeffe「Ranchos Church, No. Ⅱ, NM(ランチョス教会、No.2、ニューメキシコ)」、Aurther G. Dove「Red Sun」
第5章 近代生活
 Edward Hopper「Sunday」
第6章 都市
 John Sloan「Six O'Clock, Winter)、Edward Bruce「Power」
第7章 記憶とアイデンティティ
 Grandma Moses (Anna Mary Robertson Moses)「Hoosick Falls in Winter」、Jacob Lawrence「大移動」シリーズ
第8章 キュビスムの遺産
第9章 抽象表現主義への道
 Jackson Pollock「Composition」
第10章 抽象表現主義
 Sam Francis「Blue」、Mark Rothko

首都ワシントンの中心部にほど近い美しい住宅街の一角に建つフィリップス・コレクション。1921年にアメリカ初の近代美術館として一般公開されたとのこと。
いつか訪れる機会があるといいのだけど。

【おまけ1】
同時開催されていた「雪舟国際美術協会展」も楽しめました。
20111208 雪舟国際美術協会展.JPG

【おまけ2】
3階にあるブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ
20111208 ポール・ボキューズ昼食.JPG

鶏のコンフィ、茄子のソースとバルサミコ酢のソース
バゲットにはオリーブオイルと鶏のタプナート
デザート(洋梨のコンポートとジュレ)、コーヒーがついて2000円なり。

平日の美術館は空いていていいわぁ。

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ザ・ベスト・オブ山種コレクション 前期 [アート&デザイン]

一か月前のお出かけ記録です。

山種美術館創立45周年記念特別展「ザ・ベスト・オブ山種コレクション」の前期「江戸絵画から近代日本画へ」の初日に行ってきました。

20111112 山種コレクション.JPG
(左)松岡映丘「春光春衣」部分、1917年(前期展示)
(右)速水御舟「炎舞」部分(重要文化財)、1925年(後期展示)

1966年に日本初の日本画専門の美術館とした誕生した山種美術館
山種証券(SMBCフレンド証券)の創業者、山﨑種二(1893-1983)と二代目社長富治(1925-)親子が収集寄贈した個人コレクションで成り立っている。
種二氏は、絵画のコレクターとして、パトロンとして画家を支えた。横山大観には熱海の別荘を提供し、上村松園が状況する際は車を手配し、奥村土牛の家に電話を引いてやったりと多面的に画家をバックアップしたそうです。

会場構成は次のとおり。
●江戸絵画と浮世絵: 東洲斎写楽、葛飾北斎(富嶽三十六景 凱風快晴)、歌川広重(東海道五拾三次之内 庄野・白雨)、酒井抱一(秋草鶉図)など
●近代日本画: 竹内栖鳳(斑猫)、上村松園(蛍)、速水御舟(名樹散椿)など

会期初日だというのに意外と混んでいなくて、ゆったりとしたペースで名画を堪能できました。

後期「戦前から戦後へ」も見ごたえがありそう。

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ヨコハマトリエンナーレ2011 [アート&デザイン]

横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫、その他周辺地域で開催中の「ヨコハマトリエンナーレ2011」を観てきました。(8月6日-11月6日)

3年に一度開かれる現代アートの国際展。今年のタイトルは「OUR MAGIC HOUR」
「世界はどこまで知ることができるか?」という問いのもと、世界や日常の不思議、魔法のような力、神話などに言及した作品に注目し、国内外で活躍する現代美術家の作品や横浜美術館所蔵の作品などが展示されたワクワクする企画展です。

写真撮影OKだったので、いくつか気に入った作品をご紹介します。

美術館の中に入る前からユーモラスなアート作品に出会えます。
20110923 ヨコハマトリエンナーレ1.JPG
ウーゴ・ロンディノーネ(Ugo Rondinone)「月の出・東」1月~12月

エントランス・ロビーの階段状のスペースには前田征紀(マエダユキノリ)の木とアクリルを用いた作品。
20110923 ヨコハマトリエンナーレ5.JPG

床の上に直径3mくらいの円状に敷き詰められた模造ダイヤモンドの粒、2800万個。
20110923 ヨコハマトリエンナーレ3.JPG

一方、こちらは壁に刺された夥しい数の画鋲。
20110923 ヨコハマトリエンナーレ2.JPG

トビアス・レーベルガー(Tobias Rehberger)のガラスの電球。
20110923 ヨコハマトリエンナーレ4.JPG

どこか離れた場所にある家の子供部屋の照明のスイッチと連動していて、ONになると消え、OFFになると点く仕掛け。

金理有(Kim Riyoo)「アルジャーノンの花瓶」陶製。ちょっと不気味。
20110923 ヨコハマトリエンナーレ6.JPG

マイク・ケリー(Mike Kelley)「Kandor City」シリーズ。幻想的。
20110923 ヨコハマトリエンナーレ8.JPG

その他、写真撮影不可だったダミアン・ハースト(Damien Hirst)の作品で、大量の蝶の羽を貼ったものが印象に残った。羽が光に反射して、離れてみると教会のステンドグラスのようにも見え、万華鏡をのぞいたようにも見えます。

現代アートの楽しみは、新鮮な驚きや刺激を与えてくれ、新しい世界を開いてくれること。

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